日々に不満があるわけではないのだけれども、何かもっと体の奥の細胞一個一個が嬉しくなり、清々しい気分になれる即効性のあるモノを探していた。
お金も掛からず、わざわざ時間を作ることなく、どこかに足を運ぶ必要もなく、最高に気分が上がるマリファナ(使ったことないけど)のようなものを …
(自己投与薬)
マリファナは非合法だし、滋養強壮や疲労回復に効くというレッド牛とかユソケルの類は一時的だしあまり好きではないし。
ってことで合法であり、効き目抜群の薬を自己投与することに。
薬名は誰もが知っている『ありがとう』。
これは本当に効き目をすぐに実感できる最高のクスリ。
しかも自分自身に効くだけでなく、相手にもその効果を感じさせるかもしれないのである。副作用なしで、効果に持続性あり。
(正しい使用方法を)
ただしこの薬は使用上の注意を守らなければ期待した効果は得られない。
大事なのはこの魔法のことばは相手の目を見て相手に伝わる大きさで発すること。
薬の効果は声の大きさに比例して変わり、相手の目をきちんと見ているか見ていないかでも効果は違う。
朝の日課として毎朝犬の散歩道は、大使館の近くということもあり、相当数の若いおまわりさんが必ず立っている。おまわりさんに近づくと一瞬こちらを見るのだけれど、通り過ぎる直前に必ずといっていいほど目を逸らすのである。
個人の性格もあるだろうけれど、ある種の国民性とも思える。 通りすがりの知らない人に挨拶なんかしないのが一般的なのだろうけれど、気持ちの良い朝の散歩中に、自分が透明人間にでもなったかのような気分にさせられる瞬間でもある。
そこで思い切って、あっちの方向を向いてしまったおまわりさんに、はっきりと聞こえる声で『おはようございます』と声をかけると、100%の確率でこちらの目を見て元気な声で『あっ、あっ、おはようございます』と返事が返ってくる。
黙っておまわりさんの前を通り過ぎるのとは全く違う気分になれる。
こちらから先に言葉を発したというだけで気持ちイイんです。笑顔になれるのです。
もちろん相手のおまわりさんの笑顔もこちらの気分を良くしてくれます。
ただしこちらの声が小さいと、ボソッとした声で『… おはようございます… 』としか返ってこないので、不完全燃焼的な気持ちになるので、それは何も言わないのと同じかもしれない。使用法を守らないとね。
(言霊)
ビルの掃除をしてくれている方達に『ありがとうございます』、ゴミの収集をしいる方達に『おはようございます』。コンビニの店員さんに『ありがとう』と言われれば『ありがとう』を返す。どんどん言いまくる。
たくさんの『ありがとう』『おはよう』を言い続けていると、本当に魔法をかけられたように自分自身が自然と笑顔に、そして元気になりちょっと前の自分よりも爽快な気分に。
(ご使用はお早目に)
そして、この魔法は誰もが使える分、相手よりも先に使った者が効果を最大限に得られるという特徴があるようです。
例えば知り合いという程ではないけれど、お互い顔は知っている程度の人と道ですれ違うとき『挨拶しようかな、でもそんなに親しくないし … 』なんて一瞬躊躇しているときに、相手から先に笑顔で『こんにちは』と声をかけられた場合、もちろん笑顔で『こんにちは』と返すのだけれども、なんとなく先を越された感、負けた感(別に勝ち負けなんてないのだけれど)を抱いたことも。
やはり、この魔法のことばは相手より先に使ったほうが大きな力を持っているように思う。
(類似品に注意)
エレベーターを下りる時、全員が下り終えるまで 開くのボタンをずっと押し続けてくれる親切な人に対して、お礼の言葉の『すみません』。
出入り口のドアを後ろの人のために押さえてくれた人にお礼の言葉として『すみません』。すみませんが何を意味するのか勿論わかるのだけれども、やはりここでは『ありがとう』『ありがとうございます』のほうが、言う方も言われる方も100倍(個人差があります)気持ちイイのでは?
『どうも』も同じく注意が必要です。
『先日はどうも』より『先日はどうもありがとうございました』
『先日はどうも』より『先日は楽しかったです』
『すみません』や『どうも』などの短縮したことばには魔法の力は宿らない。
魔法の言葉の類似品には注意が必要。
(服用のタイミング)
魔法のことばを使うことによって、言った方も言われた方も気分が良くなるという効き目を実感したら、今度はなるべくこの魔法がなるべく長く続いて欲しいと思うのであるが、なかなかそうはいかないのである。『おはようございます』の魔法が効くのはその瞬間からほんの数分くらい。そう、レッドブルもユンケルも4時間くらいで効果がなくなるように、一日中とか永遠に効果が続くわけではない。
しかし、この魔法は一日の始まりに集中してたくさん使っておくと効果がかなり長く持続するようである。
朝、エレーベターに乗り合わせた人に『おはようございます』。駅の改札で駅員さんがいれば『おはようございます』。混んだ電車内は透明人間になりたいくらいの憂鬱な気分、だからこそ降りるときに出口を開けるてくれた人たちに『ありがとうございます』。スタバでコーヒーを頼むときは『おはようございます』受け取るときは『ありがとう』。
魔法のことばを使える場面を探して、使えそうであれば躊躇せず使いまくる。
どんどん使いまくる。
一日のスタートにいっぱい魔法のことばを使って貯金を作ると、長い時間自分自身がその魔法にかかりその日一日を気分良く清々しく過ごせる。
そしてこの魔法は疲れているときこそ、辛いときこそ効き目をあらわす。
お金も掛からず、わざわざ時間を作る必要もなく、どこかに足を運ぶ必要もなく、最高に気持ち良くしてくれる魔法のことばを使わない理由なんて見つからない。
(注意)
ただしこの魔法のことばには、使わずにはいられなくなるという中毒性があるようです。